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09 May 2010

天体観測には快晴だけが必要

20100508_0300himawaris2010年5月9日午前3時の気象衛星ひまわりの画像です。
左が見慣れている赤外画像で、これは気象衛星ひわまり1号の時から見慣れている画像です。
右がひまわり6号から運用されているマルチバンドカメラによる画像から得られる情報から得ている水蒸気の画像です。詳しくいうと、赤外画像は、雲から放射される赤外線を捉えた画像です。放射される赤外線の強さは雲の温度により変化する特性をもっており、高い高度にあって温度の低い雲を捉えやすくより白く表現されるように処理されています。ごく低い雲や霧は、赤外画像にはほとんど写りません。だから天体観測には使えないのです。
 なお、高い高度の雲には、夏の夕立や集中豪雨をもたらす積乱雲のような厚い雲もあれば、晴れた日にはるか上空に薄く現れる巻雲のような雲もあります。このため、白く写っている雲が雨をもたらすとは限りません。ここが衛星写真の見るときの注意点です。赤外画像の解像度は、衛星の真下付近で4km四方となっていて、これが1画素を形成しています。これ以上の分解能はありません。
 一方、水蒸気画像は赤外画像の一種で、大気中にある水蒸気と雲からの赤外放射(6.8ミクロン帯)を観測した画像です。この6.8ミクロン帯の赤外線は、大気中に存在する水蒸気によく吸収されると同時に、その水蒸気からの放射が行われる特性を持ちます。この特性を利用して、水蒸気画像は、雲がないところでも対流圏上・中層にあるごくわずかの水蒸気からの放射を捉えることができ、その対流圏上・中層の水蒸気が多いところを白く、少ないところを黒く写るように処理が施された画像です。水蒸気画像からは、上空の大気の湿り具合が分かるだけでなく、複数の画像を動画として見ることで、水蒸気の流れを介して上空の大気の流れを見ることができます。つまり、この画像を見た方が天体観測に適しているかがわかるのです。
201005082100pちょっと時間が違いますが、気圧配置図です。
最近は晴れても実は水蒸気が上空にたくさんあって、高気圧の部分でも天体観測には適していないのがわかるかと思います。


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