銀塩時代の天体写真機材とデジタル時代の天体写真機材についての雑感
天体写真は、一般的な写真と違って普通に撮って出しではまともな写真になりません。これはデジタルになって余計にそうなったのかも知れないと感じます。
銀塩写真時代は、星をひたすら追いかける追尾するために赤道儀をコントロールして長時間露光していました。フィルムもそのために水素増感処理とかフィルム冷却カメラなどカメラも改造してフィルムが浮かないために、フィルム吸引改造などをしていました。後処理はDPEの湿式処理でこちらも時間がかかりましたが、化学処理なので一定の条件で処理すれば、そんなに変わるものでもありませんし、いじる範囲が限られていました。
それが、デジタルになると、撮影は量子収率が銀塩フィルムと違って劇的に改善したので、短時間露光でできるようになりました。それも結局クオリティを追求すると銀塩時代より総露出時間が長くなりました。それは多数枚を加算処理して重ねることがコンピュータ処理で可能になったからです。これが長時間露出へのこだわりに陥る理由です。このへんは機械任せでほっておくことができるので、色々と対策をしていれば、お金かければどうにかなるレベルになっている感が否めません。結局、財力勝負みたいなことになってきているように感じます。一番大きなのは結局いいカメラがないといけない。ここも大陸製のカメラが販売されてハードルが少し下がりましたが、いいものを追求すると結局同じ道をたどります。沼が深いですね。
デジタルになって赤道儀の精度をあまり言わない感じの方がいらっしゃいますが、実は解像度の高いデジタルでは短時間露光の長時間総露出になるので、実は赤道儀の質が画質に効いてきます。海外ではそのことに気づいたハイアマチュアの方は、15年以上前に一番普及していたLosmandyからAstroPhysicsへ移行した方が結構いました。理由はピリオディックモーションの大きさでした。最近はそれがダイレクトドライブのPlaneWaveへ移行している方が多い感じです。一方、欧州ではハンガリーやオランダのメーカーから廉価で高精度の追尾精度を有する赤道儀としてウオームギアを使わないフリクションホイール方式の赤道儀が販売されています。それにロータリーエンコーダーを使って高精度導入が可能である赤道儀が販売されています。特にオランダには搭載重量が大きいフリクションドライブ方式の赤道儀が大陸製に負けないくらいの値段の赤道儀が販売され、日本でも販売代理店ができています。今私が新たに観測所用に買うならこのメーカーの赤道儀にします。
追尾精度は最微等級に影響がでることが海外では知られています。しかし、偏西風帯にあるシーイングが大きな日本ではその影響を気づく人が少ないのだというのが背景にあると感じます。シーイングが悪い日本での都市伝説が、日本では25cmで十分というような話がありましたが、やはり天体写真は光を如何にあつめるかが勝負なので、結局は口径がものを言います。しかし体力と財力との兼ね合いで、25cmというのが実用上の限界と言えるかも知れません。この辺りの光学系の値段破壊をした大陸製の光学系の価格破壊はものすごく貢献していると思います。
赤道儀もこの25cmクラスを搭載できる追尾精度がいい赤道儀も大陸製のものが70万円くらいで買えるようになってきました。
問題は電子化が進んで、商品寿命がフィルム時代と違って長くないことが問題かも知れません。機械部分は長く使用できると思いますが、制御系の電子系部分が更新できないとこの趣味長くやれなくなったかなあと感じます。お金かかるなあ。
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